建設業界で働き方改革が進まない理由とは?社労士に聞く企業のリアルな実情!

こんにちは。LINEで業務報告・日報を管理するアプリ「らくっぽ」の開発・運営を行っているCメーカー株式会社、ブログ担当です。
らくっぽの詳細はコチラ 最近、「働き方改革」というフレーズを耳にすることはありませんか?
働き方改革とは、2019年度の厚生労働省の定義によると、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自らが選択できるようにするための改革を指しています。

大企業だけでなく、中小企業でも「働き方改革」に力を入れている業界は少なくありません。建設業界もこの「働き方改革」を導入する必要が出てきましたが、未だなかなか浸透してはいないようです。

本日は、鴻上社会保険労務士事務所代表の鴻上佳孝さんにお話をお伺いしてきました。鴻上さんは会社を経営しながら現役の社労士、また会計学を10年以上大学で教えていたという背景を合わせ持つ業務改善のスペシャリストとして建設業をはじめ様々な企業の労働環境を見ていらっしゃいます。

そんな鴻上さんに、建設業界で働き方改革が浸透していない理由について伺いました。その理由は主に4つに分けられるとのこと。
この記事では「建設業の長時間労働」という観点のお話からご紹介します。

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現状、週6勤務が条件の建設会社は多く存在している。

インタビュアー(以下:イ):本日はよろしくお願いいたします。建設業界では週6勤務は当たり前というイメージがありますが、働き方改革でそこを変えようとしている企業はあるのでしょうか?

鴻上さん:はい、週休2日を検討する建設業は増えてきています。労働時間や給与のシミュレーションをかけて対応が可能であるかどうかの確認を依頼されるケースが増えています。人手不足が叫ばれるなか「週6勤務が当たり前」というイメージでは人手が集まりにくいです。採用に関して、ウェブなどの求人媒体を使用する場合は特に労働条件の記載はかなり重要です。ですから、成長していて新たな人材を必要とする会社は、週5勤務へと変更しているケースが増えています。

しかし、その一方で、現状でも週6勤務の建設業の会社が多いのも事実です。そのような会社では、これまでの採用で求人媒体を使わずに、知り合い経由で人材を集められていたことが考えられます。紹介で人が入ってきている間は労働条件の見直しも後回しにしてしまいがちです。しかし最近では「紹介での入社が無くなった」という声をよく聞きますし、社員の働きやすさは真剣に向き合わなければならないテーマとなっています。

イ:「長時間労働」とセットで問題化しているのが「残業代」ですが、残業代をきちんと支払っている企業と、未払いの企業を比較するとどちらの割合が多いのでしょうか?

鴻上さん:弊社のクライアントで、建設業などの業種は特にみなし残業の制度を整え、規定の時間内で働いてもらうようにしています。
正しくみなし残業を導入するために、就業規則や雇用契約書でみなし残業について明記しておく必要があります。また実際に働いた時間に関しても細かく管理をします。
そして、みなし残業の枠を超えた分に関しては、きちんと割り増しで支払うようにお客様と相談の上、お願いしています。

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社長、社員と話し合い、少しずつ働きやすい環境を整備していく。

鴻上さん:今、「週6勤務」と「残業代」の話しをしました。長時間労働を解決するにはまだまだ多くの課題が残されています。ここで私が重要視しているポイントは、会社の労働環境がブラックなゾーンにある現状から「法律的に大丈夫である」という状況に変えていくことです。

しかし、多くの企業は、そこの改善がうまくできていないように感じます。改善しなければ社員の不安、不満も募ってしまいます。制度を整えて、「法律を守っている会社である」というポジティブなメッセージを社員さんに伝えることはとても大切です。安心して働ける環境によって、離職率が低下しますし、仕事に集中してもらえるようになります。

ただ一方で「建設業は長時間働いても出来高が大事」と考えている職人さんもいます。長時間働いて稼がせてもらっているのだから、むしろ会社には感謝していることもあります。
社員の意思を無視した社長の独断の場合はアドバイスをしますが、社長も社員もその働き方で満足しているケースもあるのです。誰もが土曜日に出勤することは当たり前だという考えの建設業に「それは長時間労働です」と一方的に伝えても意味がありません。

会社も職人さんも満足しているところに私が「働き方改革だ!」「改善すべきです!」と叫んでも、誰も聞く耳を持ってくれないでしょう。ですから、そこはお話しを聞かせていただいて、どのように考えているのかコミュニケーションをとることを第一優先にしています。会社や職人さんの立場に立って、その会社の成長に必要なことを一緒に考えていくようにしています。

イ:道筋を作るまでには結構時間がかかりそうですね。

鴻上さん:そうなんです。長く職人をやられている方は稼ぎたい事もあって長時間労働を受け入れています。生活を考えると、むしろその方を好まれることがあります。一方、若い職人さんはそうはいきません。いろいろな意見をまとめる難しさがあります。丁寧な説明が求められます。
また、よく話しを聞かせていただくと、実は長時間労働のようでも「長時間労働」には当てはまらないケースもあります。

イ:長時間労働が、長時間労働に当てはまらないケース、ですか?

鴻上さん:はい。「週6日勤務、土曜日や祝祭日も働きます」と聞くと長時間労働のように聞こえますが、太陽が沈む頃には仕事を終えてしまう業種もあります。
昼の3時や夕方の5時には、社員さんが会社に戻ってくることがあります。そうなると、週6日勤務ですが長時間労働にはならないです。労働時間を合計してみると法律の枠の中で収まることもあります。その際は改革まではいかずとも工夫が必要になります。

会社の1日の労働時間を8時間と決めているところが多いですが、8時間でなくてもいいのです。会社側が1日の労働時間を少なくすることは問題ありません。週6日で働いていても合計時間数が法律で決められた時間内に収まればいいのです。

それに防水や塗装など、外で働く仕事では雨が降っていると作業ができません。雨の日が休みなら土曜日に働いても1ヶ月のトータルで見れば週休2日と変わらないこともあります。

また、繁忙期や閑散期がはっきり分かれている会社もあります。1年単位で考えるとそんなに労働時間が多くならなかったりします。この場合、変形労働時間制というのがあるのでその活用も試みます。

建設業といっても、全ての会社が同じではありません。働き方は会社、業種によってバラバラです。そのっ会社にとって一番良い働き方を、社長や社員の皆さんと共に模索しながら作っていくのが私たちの仕事です。「一緒により良い労働環境を作っていきましょう!」いうことです。

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「ヒト・モノ・カネ」のバランスをうまく整えられるように。

イ:その会社の内部に入って、その会社がより良くなるために働いていらっしゃるということですね。

鴻上さん:そうです。私自身、会社を経営していて感じるのは経営というのは「ヒト・モノ・カネ」のバランスを整えるものである、ということです。このバランスが取れている状態が最も効率的に経営ができていて、利益率が高くなります。

売上(モノ)に対して、社員(人)が多すぎれば、人件費(金)が多くかかります。社員が少なければ、残業が増えてしまいますし、満足のいくサービスが提供できません。会社規模に見合わない融資を受けるのは、利息が増しますし意味がありません。

「ヒト・モノ・カネ」のバランスが取れている状況は、利益が出せる状況が維持できているということです。
ただ、ここで難しいのは、バランスの良い状態がずっと長く続くと、会社はいつしか成長が止まって沈んでいく、ということです。

イ:バランスが取れているのに沈んでいくのですか?

鴻上さん:はい、面白いですよね。経済状況は目まぐるしく変動するので、一つの事業を同じように繰り返しているだけでは変化に対応できずにリスクを負うことになるとういことです。よほどの大口の安定した顧客がない限り、長続きは難しいです。ですから、どんどん新たな展開や新事業へのチャレンジをしていく必要があります。最新の情報を入手し、どう対応するのか、対応しないのかの意思決定をし続けることが大切です。常に成長し続ける姿勢が欠かせません。

ヒト・モノ・カネのバランスが崩れるときは、大きく分けて2つのパターンがあります。「バランスが崩される」場合と、「バランスを計画的に崩す」場合です。「バランスが崩される」とは、突然社員が辞める、会社が訴えられた、取引相手が潰れて債権を回収できなかったなどのような経営者の予測と異なることが起こることをいっています。この場合は、崩れてしまったバランスを立て直さないといけないので、会社を守るために必死に取り組む必要があります。

もう1つの「バランスを計画的に崩す」というのは、会社を成長させるための戦略といっても良いでしょう。意図的に崩した「ヒト・モノ・カネ」のバランスを立て直すことで、もう1つ上の段階に会社を成長させることができます。同じエネルギーをかけるにしても、こちらは会社のコントロールの下で会社の成長のために行うので、前向きで、社員一丸となれることが多いです。

例えば、売上が伸びたので人を雇うのか、先に人を増やしてから売上を伸ばすのかで考えてみましょう。その順番が違うだけでかなり会社の状況が変わります。

売上が伸びてきて仕事が増えて、今いる社員の残業が増えてきたので求人をしたとします。求人をかけてもすぐには雇用には結び付きません。その間も、今いる社員に負担を強いることになります。そうなってくると、誰でも良いから雇ってしまおう!となりがちです。会社とマッチングをしていない人を雇うことになります。さらに、先輩社員は忙しいので、新しく入った社員を教育する時間がありません。どう働けば良いのか分からない新入社員は辞めてしまいます。悪循環です。

これに対して、どういう人材が会社に必要なのか、新しく雇った社員が1人前に働いてもらうためにはどういう教育をしていくのかを整えてから雇用したとします。会社とのマッチングが高い社員さんの確保につながりますし、丁寧なサポートで新入社員が仕事を覚えてくれます。

「ヒト・モノ・カネ」のバランスをどう崩して、どう整えるかを決めることは事業計画を作成していくことを意味します。その経営方針に沿った形で、各事業部長が自分の部署の「ヒト・モノ・カネ」をどうしていくかを決めれば、各部署のやるべきことが明確になります。みんなが同じ方向にエネルギーをかけていくことになりますので、より大きな効果を生みます。

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「なぜ制度が変わるのか?」背景について考える必要がある。

鴻上さん:働き方改革で労働環境の整備が義務化されています。日本の政策、社会のニーズがそこにあるからです。それに文句を言うことは簡単ですが、いずれにしても経営者は対応することが求められます。「法律で義務となったので仕方なくやります」という後ろ向きの導入では変化に対応できているとはいえません。

大切なのは、「法律で決まったから守る」というよりも、なぜそのようになったのかをしっかりと理解することです。
法律で決まったから導入する、というよりは会社を良くするために法律を守っていく、という観点でお話することを心掛けています。

イ:言われたからやる、というよりは、なぜ言われたのか、どうしてなのか、という考え方をすることが大切なんですね。ありがとうございました。それでは次回は、「社内のマネージメント」についてお伺いしていきたいと思います。

いかがでしたでしょうか。建設業の働き方改革において、長時間労働は大変重要なテーマです。生産性を上げるためにも今後はより一層労働時間を徹底管理する必要が出てくるでしょう。
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